自主経営の組織編

セルメスタ「自主経営の“土台づくり”その⑦-『目的地図』作成のための大切なことは何?-」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

本シリーズでは、株式会社セルメスタの自主経営の“土台づくり”の軌跡をレポートとしてまとめ、読者の皆さまに、セルメスタのリアルな現場をお伝えできればと思っています。

前回は、セルメスタがみらかグループ入りするという会社としての方向転換があり、『目的地図』のゴールが変わったため、それに合わせた「組織図」のたたき台作成を開始しました。今回も引き続き、「みらかグループのセルメスタ」としての役割を果たすための「組織図」作成を行なっていきます。

1.経営理念を実現する『目的地図』
2.理想の『目的地図』作成のための、大切なこと
3.「大切なこと」を組み合わせて組織図を作る

 

1.経営理念を実現する『目的地図』

1-1.『目的地図』のゴールを再確認

吉原:本日は「組織図を完成させる」という目標でやっていきます。まずは、ゴールがブレないように、目的の振り返りから行いたいと思います。リードリンクから目的を共有していただいて、組織図を作成してきた方は今一度、作成したものがセルメスタの目的に沿っているかを確認してもらえればと思います。ではリードリンク、よろしくお願いします。

熊倉:はい。では、改めてセルメスタの経営理念は何かということですが、

セルメスタの経営理念

「私たちは、セルフメディケーションをいろいろなかたちで応援し、社会(人・企業・組織)のHeath Safe Familyの確かな充実に貢献します」

となっています。「セルフメディケーション」は、常備薬だけでなく色々な形で健康に貢献できればいいなという思いがあります。そして株式会社ヘルスケアマーケティングに関してはセルメスタの経営理念をさらに広げており、

 

株式会社ヘルスケアマーケティングの理念

「私たち 株式会社ヘルスケアマーケティングは、すべての人々が健康を主体的・継続的に“守り”、”創る”仕組みやサービスを提供し、すべての人々が健康に暮らせる社会の実現に貢献します。」

自己治癒や予防だけでなく、健康を継続的に創り・守るまでが範囲となっています。ですので、これらを愚直に行える組織でありたいなと思います。

吉原:では、今リードリンクに共有していた部分を大事にしていきながら、組織図案のディスカッションに移りたいと思います。まずは理解を深めるというところから、作成していただいたものを一旦すべて共有していきたいと思います。

1-2.組織図案の共有

熊倉:じゅんかん。完璧に出来上がっていない方もいると思いますが、「大事にしていること」を重点に共有してもらえるといいかなと思います。

吉原:はい。じゃあ、関根さんからいきましょうか。よろしくお願いします。

関根:2枚資料を作ってきました。1枚目は全体感を伝えるもので、フェーズ1で学んだ「グラスフロッグ」を活用しています。フェーズ1では、「人を起点に考えると難しい」ということを学びましたので、とことん「役割」で考えてきました。ブルーの部分はリードリンクや役員、コミッティなどの役割が重なって大きくなるところになっています。既存事業は今の体系を大きく崩さすそのままで、新規のところは「すこやかグループ」と「郵送検診」、「健康経営BCP」となっています。その中に派遣社員やヘルスケアマーケティング、SWPを入れていますが、既存の形もある程度残しています。そして、この組織図の特徴として、新規事業に対して優先的に人を割り当てるようにしました。また、どのグループの人もまぜこぜにして入れているのも特徴です。コンセプトとしては「次世代組織(ティール組織)」を意識しています。

吉原:関根さんありがとうございます。すごく時間をかけて考えてくださったと思いますので、みなさん拍手をよろしくお願いいたします。では、内容を明確にするための質問があればじゅんかんをお願いします。

 

1-3.組織図案の確認タイム

藤谷:今までの組織も残っていると思うのですが、組織図とは別で体制を維持しているということでいいですか?

関根:先ほども少し話したのですが、既存組織をいきなり0にすることは難しいと思っています。ですので、藤谷さんの質問への答えとしては、「今までの組織も別で体制を維持している」という答えになります。ただ、新組織が前面に出るように意識的に作っています。

吉原:藤谷さん、必要なものは得られましたか?

藤谷:はい、得られました。では、柏倉さんもじゅんかんがあるようですので、お願いします。

柏倉:はい、ちょっと聞きそびれたかもしれないのですが、「健やかチームα」と「健やかチームβ」はそれぞれどんな役割分けになっていますか?

関根:「健やか」が関わるものすべてを担ってもらおうと思っています。

吉原:柏倉さん、必要なものは得られていますか?

柏倉:はい、大丈夫です。

 

2.理想の『目的地図』作成のための、大切なこと

2-1.組織図案に対するリアクションでみんなの意見を共有

吉原:では、他に確認のための質問がある方はおられないようですので、続けてリアクションタイムに入りたいと思います。ここでは「ここはこうした方がいいのではないか」や「ここが良かった」などの意見を言ってください。では、藤谷さんから順番にお願いいたします。

藤谷:そうですね、良かった点は「チーム制」にしたことで各自の役割が見えやすいのがグッドポイントだと思いました。あと面白いと思ったのが、派遣社員とヘルスケアマーケティングとSWP※がどこも関わり、横でつながっているのが新しいなと思いました。逆に業務が重なる「二足わらじ制」であるがゆえに、取りこぼしが心配です。

※SWP:みらかグループの会社の1社

本田:「全員参加」という組織図ということで、誰もが抜けることなく新しいことにチャレンジできるようになっているのが、とてもいいなと思いました。そのため、スタート時に「全員参加だからしっかりやろうね」と足並みを揃えやすいのではないでしょうか。

奥村:私は同じように「二足わらじ」の方向で考えていて、関根さんの落とし所はこういう風にしたのだなと参考になりました。自分には出来なかった部分もしっかりと振り分けていて、すごいなと思いました。

熊倉:これほどのものを作ってきてくれて「ものすごい労力だったろうな」と思ったのと同時に、とても感謝しています。個別で言うと、「ISO」の中に「取締役会」「健康経営プロジェクト」「BCP」「マネジメントコミッティ」があるといいかなと思っていたので、そこは共感しています。そして、藤谷さんがおっしゃっていたように「二足わらじ」の部分は運用が難しいですが、とても意欲的だなと思いました。また、1チームの中で「バリューチェーン」を網羅できるようにしているのもよくわかりました。ここまでしっかりと組織図を描ききってくれて、素晴らしいたたき台だと思います。大感謝です。

柏倉:私も単純にすごいなと思いました。私はそこまで踏み切れていなくて、「こういう考え方があるんだ」と参考になりました。そして1枚目の作り方は私と一緒で、その考えを見事に組織図に表現しているなと思いました。意見としては、藤谷さんと同じく「二足わらじ」だと社員が動揺しないかどうかが不安です。今回、優先順位が高い新規の役割が多くあると思うので、これだけの人数をアサインすると逆に動きづらい部分もあるのではと感じました。

吉原:では、関根さん、リアクションをもらった感想を述べていただければと思います。

関根:予想していたコメントをいただけました。実際、自分も「二足わらじ」部分にはザワザワしています。今日が提出日でしたので現段階のモノを出してはいますが、これからどうなるのかまでは考えていません。とにかく乗りかかった船ということで、チャレンジしていければなと思っています。「二足わらじ」部分に関しては、どう乗り超えるかという部分を考えていて、その解決策が『ティール組織』や『ホラクラシー』かなと思っています。今まではどの企業も「社長」という言葉が独り歩きしがちでしたが、リードリンクという「ひとつの役割」からトップが始まります。また、同じくマネージャーやリーダー、一般社員の方もすべて「役職」だと思っています。その『人』」を『役割』に置き換えることができれば、「二足わらじ」という大きな壁を超えられると思ったので、それを踏まえてこのたたき台を作成しました。

 

2-2.全員の「組織図」案を共有

吉原:では、このような形でみなさんの案をシェアしていければなと思います。続いて柏倉さんよろしくお願いいたします。

~全員の「組織図」案を共有~

柏倉さんの組織図は関根さんのそれと両極端のような組織図でした。関根は『ティール組織』、柏倉は『人ベース』の組織図で、とても参考になる違いがありました。奥村さんの案は、その二人の中間に位置するようなアイデアでした。そのほか、完成していないものも含めて「大事にしている部分」を中心に発表して、メンバー全員の考え方を理解していきました。今までの発想にない、考えに考え抜いた組織図の数々に、リードリンクが感極まる場面も見られました。

吉原:残るはリードリンクの案だけとなりましたが、この後どのように収束に向かうかを話し合いたいと思います。リードリンク案を聞きながらみなさんの案から抜粋していく形にするか、はたまた違う形にするかどうしましょう?

柏倉:はい!ひとまずリードリンク案を見たいです!

吉原:わかりました。では、リードリンクお願いできますでしょうか?

熊倉:はい。私の案は柏倉案さんと関根案さんの中間あたりの案です。営業部門をチーム制にしたいという部分は、奥村さん案と一緒です。ただ、すべてをティール組織にすることは難しいと思うので、できそうな部分だけ役割ベースにしています。あとは「ところてん方式」のように、どんどんと人もじゅんかんしていければと思います。

2-2.ここまで出た意見を踏まえて、改めてセルメスタの組織図で「大切にしたいこと」

吉原:みなさんありがとうございました。組織図の素材として色々な考えやアイデアが出たと思います。ここで改めまして、「組織図を作る上で大切にしたいこと」を洗い出したいと思います。抽象・具体と形は問いませんので、どんどん出していきましょう。

熊倉:じゃあ、先陣切っていきます。奥村さん案の、「営業グループのリーダー割当」はそのままたたき台にして欲しいなと思いました。あとは「健やかグループ」と「メディア営業」の考え方が面白いなと思いました。

関根:じゃあ、私からも一つ。この機会にマネジメントコミッティを一度解散してもいいかなと思います。理由としては「ISO委員会」と「コミッティ」が重複している部分が多いことが挙げられます。ですので、「ISO委員会」にまとめてしまいたいなと思います。そうすることによって役職が崩れて、より役割ベースに近づけるかなと思います。マネジメントコミッティは結成当時には必要だったと思いますが、今回作る新しい組織にはもう時代遅れかなと。

藤谷:現場から離れる可能性もあり、寂しい気持ちもあるかとは思いますが、人もじゅんかんしないといけないなと思っています。リードリンクのおっしゃっていた「ところてん方式」を採用して、どんどん人材を押し上げていきたいなと思いました。そうしないと全体のレベルアップが図れないと思います。

本田:私は関根さんが出してくれた、今の組織を引き継ぎながらの案でスタートするのがいいかなと思います。現在の組織に引っ張られるのは良くないとは思いますが、こちらの方が移行しやすいのではと思いました。

奥村:じゅんかんで、営業サイドから見た「大事にしたいこと」がありまして。SWPがどのように関わってくるかで変わるとは思うのですが、すこやかグループと既存の営業との協力(環境を整える)は必ずやらなければならないと思っています。

熊倉:SWPの方が一人ずつ営業グループに割り当てられる、という奥村さんの案はまさにそのようになると思いますので、ここは「前提」として決めていいかなと思います。

関根:新しい営業組織にした場合、内勤を担当制にしてしまうとパンクしてしまう気がします。私が元々考えてきたのは、セルメスタの営業に融合して「必要な時に、必要な人」を割り当てることをイメージしていました。この案ですと、一人の受け持つ営業担当の量が計算できなくなったな、というのが正直なところです。

熊倉:じゅんかん。前提をすり合わせたいのですが、私の考えとしてはSWPの方から仕事が多く来る、ということは考えていなかったです。あくまでも営業の後方支援チームとしての役割を考えています。

 

2-3.「各自の最高価値に合った役割を」。兼任は他人事になってしまう!

藤谷:私はシステム含めインフラを統合させてくれる人が欲しいと思っています。例えば、みらかグループから来てもらうとか、なんらかの人員を補充できればと思います。そして個々の役割を「専任制」のような形にできればと思います。例えば、関根さんはマネジメント力を使って、セルメスタのスケジュールと予算を握ってほしいです。柏倉さんはアイデア力を活かして、セルメスタ業務を横断して担当してほしいなと思っています。本田さんは「継続」という最高価値なので、今のセルメスタを上手く維持して「守りの部分」に専念してもらう。そして奥村さんはトップセールスとして、売りまくっていただくと。このように各自の最高価値に合った役割を与えられればなと思っています。ただ時間がないとかの問題になると思うので「ところてん方式」でじゅんかんして、役割に合った位置を見つけていければなと思います。やっぱり「二足わらじ」にしてしまうと他人事になっちゃいますよ!

本田:他の部署でやっていることがわからないので、うまく維持していけるか不安です。

藤谷:それはマネジメントコミッティなどがあるので心配ないかなと思っていますし、この1年間で引き継ぎしていければと思います。

柏倉:じゃあ人を入れてもいいのかな?

藤谷:まずは「ところてん方式」をうまく使っていくのがいいかと思います。セルメスタをよく知っている人間をどんどん押し上げて、新しいことにチャレンジしてもらえればと思います。人件費がかかってしまうかもしれませんが、そこは必要な投資だと思っています。

 

3.「大切なこと」を組み合わせて組織図を作る

3-1.まずは「大切なこと」で組み立ててみる

吉原:では、みなさんの意見は一旦出し切りましたかね?ということであれば、今の大事にしたいことを入れ込みながら、組織図の仮案を作っていきましょう。素案の素案です。ジグソーパズルのように、今ある大事にしたいことを組み合わせていきましょう。

関根:藤谷さんの案は、ひとつのプロジェクトをリーダーとして担当するということ?

藤谷:いえ、横断的に役割を担ってほしいなと思います。これはじゅんかんになりますが、例えば関根さんはすべてのスケジュールと予算を担っていただきたいなと。

関根:なるほど。自分の最高価値にあったところを担当する、ということですね。

藤谷:はい、まさにそういうイメージです。

奥村:今ベースにしているものは藤谷さん案だと思いますが、担当を決めるところまではまだ行き過ぎじゃない?

藤谷:もし、ほかに良い案がでればもちろん変えてもらって結構ですが、今はこの案で進めたいですね。

関根:うん、これをたたき台にして進めていけばいいんじゃないかな。もし、他の案があるならば追加していくと。各自、次回までに考えてきてもらってもいいですし。

 

3-2.親近感のある「呼び方」で、全社の風通しを促進

藤谷:「じゅんかん」ですが、意見としてリードリンクを「熊倉さん」と呼びたいです。

みなさん:おぉー!!

熊倉:リードリンクというのは役割と人を切り離すという意味があるので、最終的に呼び方がどうなるかは別として、呼ばれる側とすると「社長」であったのが「さん付け」になることは、ティール組織という面では大きく前進するのではないかと思います。

吉原:呼び方の話は面白いと思いますので少し時間を取りましょう。「呼び方」は組織の世界観を表すものですので、ぜひぜひ話し合ってもらいたいと思います。

関根:ちなみにあだ名で呼びあうことはアリでしょうか?呼びやすい名前だと、コミュニケーションが捗るかなと思います。

吉原:あだ名で呼び合うこともアリだと思いますが、ホラクラシーでは基本的に「役割」で呼ぶことになっています。「スラック」というシステムをよく使うのですが、そこには設定した名前が出てきてしまいます。『ホラクラシー』は名前を嫌がりますので、システム的な面でも役割で呼び合うことが多いです。セルメスタではどのようにしましょうか?

藤谷:私は最初「さん付け」から始めて、全社員が「熊倉さん」と呼ぶような風土を作りたいと思います。今は「社長」という呼び方が定着していますが、それだとどうしても上下関係ができて、対等に意見を交わしづらいと思います。

本田:私は「役割」+「さん付け」がやりやすいかなと思います。例えば、「リードリンクの熊倉さん」といった風に。

熊倉:じゃあ、みらかグループにはいったことですし、みらかグループが「さん付け」で呼んでいますので、「役職で呼ぶのはやめましょう」と全社に促しましょうか。

吉原:では、みなさん必要なものは得られましたか?

一同:はい。大丈夫です。

 

ご覧いただいたように、今回は「組織図」を作成する上で「大切にしたいこと」を特定していきました。いろいろなアイデアや意見が出てきており、これらをどのように統合するのかが次回の課題です。対極の意見もありますが、上手に「循環」していけるのでしょうか?

次回は、セルメスタ「自主経営の“土台づくり”その⑧-セルメスタの自主経営の名前-」となります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加