自主経営の組織編

セルメスタ「自主経営の“土台づくり”その⑧-セルメスタの自主経営の名前-」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

本シリーズでは、株式会社セルメスタの自主経営の“土台づくり”の軌跡をレポートとしてまとめ、読者の皆さまに、セルメスタのリアルな現場をお伝えできればと思っています。

前回は、「組織図」を作成するための「大切なこと」を洗い出しました。コミッティメンバーの想いがどんどんと溢れ出て、理想の「組織図」を作成するためのアイデアが揃い始めました。今回は、いよいよ「組織図」の完成となります。様々なアイデアがどのように反映されるのでしょうか。

 

1.『最高の価値観の循環』
2.役割の見える化
3.自主経営はどうやって認知してもらう?

 

前回から今回の間にみらかグループ全体で予算決めがあり、みらかグループから承認がおりたセルメスタの次年度予算について熊倉さんより説明がありました。「みらかグループとの統合により、攻めの経営体制を目指す。そのために来期は礎作りを行う。」というような考えに基づいた予算が組まれたそうです。また、細かい部分については全員で質疑応答を行い、理解を深めました。この予算については、目的地図や組織図の考えの情報として活用します。

1.『最高の価値観の循環』

1-1.前回の意見を反映した、最新「組織図」案の共有

吉原:まずは前回のアップデートに焦点を当てながら、組織図作成の続きをしていきましょう。藤谷さんからお願いします。

藤谷:コンセプトとして、「セルメスタの中枢の機能をすべて新規事業に当てる」にはどうすればいいかを考えました。なるべく人材を上の方に押し上げられるか、それぞれの強みを活かして支えながら活躍していけるような組織を組んでみました。また、『最高の価値観』や今までの「心の循環」でみなさんから聞いたキーワードを入れ込んでいます。

吉原:ありがとうございます。今日はフリーじゅんかんですので、みなさん思ったことをどんどん発信していってください。

奥村:じゅんかんです。まだ営業に関しては配置が決まっていないということでしたが、ヘルスケアマーケティングに関しても決まってないということですか?

藤谷:はい、まずはプロジェクトを考えてからだと思っていました。

奥村:藤谷くんの方で、現在開発中の「次期基幹システムが可動した時に活きる組織」という風に考えていますか?

藤谷:はい、このまま終わらせる組織としては考えていません。そのような想定で作りました。

熊倉:他にじゅんかんある方はいないですか?いないようであれば、他の方のアイデアも聞いていきましょうか?最終的にみんなの考えを反映していきたいので、ここで細かいところを詰める前にみなさんの意見も聞いていきませんか?

吉原:そうですね、では柏倉さんからよろしくお願いいたします。

~柏倉・本田・奥村・関根の共有~

吉原:これで出揃った感じでしょうか?

熊倉:出揃いましたね~!このあとはいよいよ統合ラウンドですね。

 

1-2.統合ラウンドその①~「ティール組織は必ずしも全員でやる必要はない」~

柏倉:みなさんの意見を聞いていて、共通点が見えてきたなと思っています。関根さん、本田さん、私(柏倉さん)は既存の仕事をこなすために今の組織から大きく人は変えていません。ですので、今の組織図を大きく変えずにチーム制にするために、「クロス評価」を導入するのはいかがでしょうか?

藤谷:では、じゅんかんある方いますか?

関根:基本的なところはみなさん同じだと思っています。しかし、全社に伝える時に「今までと変わったな!」という点があると良いと思っていて、その時に既存のものを優先するのか、新しいものを優先するのかということで言えば、やはり新しいものを優先して「新鮮味」がある組織図にしたいなと思っています。

熊倉:私からじゅんかんいいですか?藤谷さんの組織図はとても理想形を求めていて良いとは思うのですが、はじめの段階としては無理があると思っています。というのも、全社員がホラクラシーやティール組織の中に組み込まれています。私達の理想とするティール組織を最初から完璧に行うのではなくて、段階的に導入していかないと、組織運営に大きな混乱が生じてしまう懸念があります。

藤谷:逆に言うと、「健やか」はそれによってなかなか動き出せていないのかなと思うのですが。

熊倉:じゅんかん。それは外部の人間が絡んでいるからだと思います。セルメスタから人が出せればいいのですが、「出せる人がいない」という状況もあると思います。新規事業は0から1を生み出す作業が必要です。したがって、スケジュールを引くこと自体出来ないのではと思います。

私が今思い描いている組織図は、みなさんの案の部分部分を組み合わせた統合案です。ただし、部署によっては藤谷さんの「役割をひとりひとり明確化させて、ティール組織的にやる」というのは時期尚早かなと思っています。ですので、逆にこちらは藤谷さんの意見をそのまま借りますが、奥村さんはじめ数人に強力なリーダーシップを取ってもらいたいなと思っています。一人ひとりの役割はフワッとしているかもしれませんが、リーダー陣に引っ張ってもらう形にしたいなと思います。

吉原:私から補足させてもらいますと、「ティール組織は必ずしも全員でやる必要はない」ということです、組織に応じて適用するのもやり方となっています。

1-3.統合ラウンドその~みんなの意見を反映したセルメスタの「組織図」完成~

関根・藤谷・奥村・熊倉の修正組織案を発表。質問ラウンドで細かい箇所の考えを確認。

吉原:では、熊倉さんお願いします。

熊倉:はい。組織図を1年目、2年目と若干変わった組織図を作っています。みなさんが困っていることとして、みらかグループ体制になったところで「どこまで人を入れるのか」というポイントだと思っています。私の方が事前情報を持っていますので、ここは私ができるだけイメージを見せたいなと思って作成してきました。具体的に言えば、100%正しい答えではありませんが、「デジタルプラットフォーム事業部」と「郵送検診事業部」だと思っています。ここにはマネジメントコミッティメンバーが入って、早急に形を作って欲しいと思っています。現段階では、関根さんや柏倉さんを入れています。藤谷さんは「ホラクラシー」導入部署として、引き続き『じゅんかん』や「グラスフロッグ」の実績を作って欲しいと思っています。奥村さんは営業を引っ張っていただく形で、営業のリードリンクを担っていただきたい。本田さんも同じく、営業Bチームでリードリンクをお願いしたいですね。そして……。

熊倉案は、メンバー全員の意見をまとめたようなものだった。じゅんかんを出して、細かい確認・修正をして、熊倉案をベースにした「組織図」を採用することにした。

吉原:予定通り21時に終わりましたね!拍手しておきますか(笑)

一同:拍手!

 

1-4.コミッティメンバーの最高価値は『最高の価値観の循環』

吉原:振り返ってみると、熊倉さんにお電話いただいてから1ヶ月ほど経ちました。組織図の作成は始まっていましたが、みらかグループとの統合があるということを始めて知ったのもそのときでした。統合に伴って、『目的地図』のスケールが大きくなって、当然組織図のスケールも大きくなりました。「トップダウン型ではない何か違う方法を模索しよう」ということで『最高の価値観』からやってきて、大分方向性が見えてきたと思いますので、ここまでの感想をなんでも良いのでお聞きできればなと思います。

藤谷:みなさんお疲れ様でした。まず、リードリンクの集約力がまさに「まとめ役」の役割を完全にこなされて、みんなの思いが上手くまとまっていて単純にすごいなと思いました。ありがとうございました。

吉原:では、さらにひとつお聞きしたいのですが、何がそれを可能にしたと思いますか?

藤谷:ん~、やっぱり立場や状況が違うなか、みんな思い思いの丈をしっかりと出せたということ、あとはやはり熊倉さんの集約力かなと思います。

柏倉:私は「心の循環」を準備運動として行っていたことで、みんなが心を開いて取り組めたのではないかと思いました私は本音で話せましたし、とても良いものが出来ていると思います。

本田:その場で出した意見を処理することもありましたが、基本的に1週間後までじっくり考えられる機会があって理解を深められた(これも循環です!)ことも、私としてはやりやすかったポイントかなと思いました。ですので、「時間をかけて行うのも悪くない」と感じました。

奥村:これだけ大きな組織を作り上げていくのは初めての体験でしたので、一人ひとりの顔を思い浮かべながら作っていきました。そして、みなさんの意見を集約するのに時間はかかりましたが、うまく全員が腹落ちできるものが出来たのかなと思います。

熊倉:今までとは違うプロセスを通じて組織図を作るということで、結果がわからず、みなさん含め私も不安があったとは思います。しかし、柏倉さんが言っていたように、「心の循環」などがあったことで、U理論でいえば大きな大きなUの谷を超えられたかなと思います。個人個人が想像していた組織図とは違うものだとは思いますが、全員が腹落ちできたということで、また一つ視座が上がったのではないかと思います。

関根:振り返ってみると、ここまですべてご縁だったなと思います。吉原さんがファシリテーターとして入ってくれ、柏倉さんの言っていた「心の循環」が上手くいったのかなと思っています。そして、吉原さんの最高価値の『命の循環』を参考にさせてもらい、ここにいるメンバー共通の価値観を考えました。『最高の価値観の循環』です。

一同:おぉー!!

関根:みんなで一つになれたのは、各自の『最高の価値観』をしっかり落とし込むことによって、全員の『最高の価値観』を認め合う土壌ができたからだと思っています。それによって、良い方良い方に転がっていって、最後の落とし所として「誰の組織図」でもなく、全員が納得できるものが出来たと思います。

吉原:ここまでを振り返ると、セルメスタさんのやり方は今までにないようなものだなと感じています。私としても、とても勉強になりました。ありがとうございます。

 

2.役割の見える化

2-1.「グラスフロッグ」とは?

吉原:では、組織図が出来上がりましたので、「グラスフロッグ」の説明を行います。今から見ていただく画面は「役割」をどこからでも見られるソフトです。各自のやるべきことを可視化してしまおうというツールになります。例えば、「円滑PDCA」という役割は藤谷さんの思いが入った名前なのですが、この役割がどういう目的(実現したい状態)があるかを表します。このようにひとつひとつの役割を可視化していきます。

吉原:最初は使いにくいと思いますが、5回くらい使うと慣れていくはずです。このソフトの良いところは、役割の内容を増やしたり、変えたりといったことがとてもスムーズにできる点です。そして、このツールは『役割』に特化していますので、次第に「このプロジェクトは、どの役割(ロール)なのか」ということを意識し始め、少しずつ「人」から「役割」に仕事が紐付いていきます。

柏倉:じゅんかん。逆に、例えば「本田さん」という人から役割を一覧したりはできますか?

吉原:はい、本田さんに紐付いたロールを見ることができます。

本田:この「ロールの更新」作業はすごい仕事量になるかと思うのですが、担当者の負荷は大きくならないのでしょうか?

吉原:ここは個人個人がやっていきますし、とてもスムーズにできますので、あまり負荷にならないはずです。ですので、心配されなくても大丈夫かと思います。

熊倉:すごくいい会話してますね。みなさんとっても鋭い質問ばかりです。筋が良いですね。

柏倉:質問が鋭いかどうかもわからない状況です……。(笑)

熊倉:そうだよね。最初はそうですけど、どんどんわかってくるはずですよ。

2-2.「グラスフロッグ」の作り方を学ぶ

吉原:では一旦、ここまでの作業状況をみなさんで共有しましょう。大まかな部分だけで大丈夫です。このあとの流れとしては、みなさんが作ったグラスフロッグをリードリンクに確認してもらいます。どんな仕事があるのかと確認をするのが、リードリンクが継続的に行う「役割」になります。では、藤谷さんから順番に共有をお願いします。

藤谷:はい、私は今回大きく分けて4つの役割を持っています。『① 円滑システムPDCA』です。こちらは万能で大体の役割が入ってしまうのですが、主にシステム管理者としての役割が入っています。2つ目が『② マネージャー業務』です。「メンバー管理」と「システム管理」は分けたいと思ったからです。3番目は『③ ICT情報の共有』です。これはコミッティや全社へ向けての発信などが主な役割です。そして、最後は『④ ISO委員会のIC担当』で、委員会での活躍の部分を表現しています。

吉原:ありがとうございました。では、ここでみなさんから「この役割が入っていない」や「これも入れたほうがいいのではないか」という意見があれば頂戴したいと思います。

熊倉:上手だね。

藤谷:ありがとうございます。

熊倉:じゅんかん。役割が4つありますよね。組織図を見ると「ISO委員会」と「ICTチーム」の中に藤谷さんの名前があって、「ISO委員会のICT」と「ICTチーム」としての役割がしっかりと切り離されて書かれていますね。そして、「円滑システムPDCA」はプロジェクト的な役割ですよね。組織図で見えない部分も、しっかりと考えられていると思います。さすがです。

藤谷:はい、裏の意図も考えながら作成しました。

~メンバー全員発表~

2-3.「役割」は、独立したやるべきこと

熊倉:自分じゅんかん!(笑)

(一同笑い)

熊倉:「コンシューマ事業推進部」を書き忘れました!組織図にそもそも表現されていませんでした。組織図に星印や丸で表現した方がいいかなと思いました。

藤谷・関根:そうですね、入れたほうがいいですね。

熊倉:そして、逆に関根さんはコンシューマ事業推進部に所属しているので、「役割」には入れなくて良くなりますね。

関根:なるほど。

吉原:数名が参加されていますので、役割を作って切り離してOKですね。会議を行うなどの「仕事にかぶりがある」場合は切り離して大丈夫です。逆に仕事が異なる場合は、何人も入っていると誰が何をやっているのかわからなくなってしまいます。

関根:じゃあ「経営会議参加」も外してしまっていいということですね。そうすると私の役割は3つまで減るのか。

吉原:はい、経営会議はリードリンクのところに入っていますので、外して大丈夫です。大分スリムになりますね。

藤谷:じゅんかんです。「ISO委員会のICT担当」は特殊なので残したいのですが、よろしいでしょうか?

熊倉:いいと思います。

吉原:この作業を通じて、組織図をベースに「今の作業がどういったものなのか」がより具体的にわかりますよね。色味がついてくるというかそれが目的です。

 

3.自主経営はどうやって認知してもらう?

3-1.「ホラクラシー」という言葉の魔力

吉原:リードリンク。「ホラクラシー」という言葉を使うかどうかをご相談です。「ホラクラシー」という言葉を使うメリットとしては「なにか新しいことが始まる」とわかりやすいことです。一方、デメリットとしては「反ホラクラシー派」が生まれる可能性があります。パッと見で「何か面白そうなことやっているな」と思われますが、その反面インパクトが強すぎるかなとも思います。リードリンクが決めることもできますし、みなさんの意見も聞いてもいいと思います。

熊倉:では本田さん、どうですか?

本田さん:微妙ですね……(笑)

吉原:書かないという選択肢もありますよ。

本田:「ホラクラシー」って調べないと意味がわからないですよね。

吉原:あっ、調べても意味がわからないです。

藤谷:さらに言うと、あまり全社に浸透させる必要もないかもしれません。

本田:私としては、「何かやっている」ということを感じてもらうためにも、名前は入れておいた方がいいかなと思います。来年のためにもですね。

 

3-2.セルメスタの自主経営実験場『自主経営ラボ』

熊倉:じゃあ、「ホラクラシー」でそのままいくか、それともわかりやすいように日本語に直しますか?

本田:組織図からアルファベットを消しているので、私は日本語がいいかなと思います。「ホラクラシー」だと中々伝わりにくいと思いますので。

吉原:じゃあ、藤谷さんはどうですか?

藤谷:ぼくはカタカナがいいかなと思います。

吉原:なるほど。では、柏倉さんはどうですか?

柏倉:迷いますね。ただ、もし組織図に載せるのだったら、『実験』だったり『お試し部署』のような書き方で、「うまくいかなかったらやめることもある」というのを正直に伝えるほうがいいかなと思います。

吉原:いいですねー!『試験的導入』なんてのもいいですね。

藤谷:『試験的導入』いいかもしれない。

奥村:わたしは本田さんと同じで、日本語の方がわかりやすいですし、想像しやすいかなと思いました。『ホラクラシー』だと、何やるんだろうとザワザワしそうな気がします。

関根:『自主経営ラボ』がいいかなと。

一同:おぉー!

関根:『ラボ』がなくなってしまうので入れつつ、みなさんの意見をまとめてみました。

吉原:ではリードリンク、みなさんの意見が上がってきましたが、いかがでしょうか?

熊倉:『自主経営ラボ』いいですね。それにしましょう!

ご覧いただいたように、みらかグループとしての『目的地図』に沿った「組織図」が完成しました。時間がかかりましたが、全員の意見を反映し、納得のいく「組織図」ができたと思っています。次回は、グラスフロッグを使ったタクティカル・ガバナンスミーティングを学んでいきます。そして、セルメスタの自主経営を担う、社内「ファシリテーター」が誕生する予感です!

次回は、セルメスタ「自主経営の“土台づくり”その⑨-また新たな可能性が見えてきた-」となります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加